2004年03月11日

エンジニア視点から「オーディオ趣味とDJ文化」


配信メモ(04.03.10)経由で読んできました「録音・複製テクノロジーと音楽聴取体験の多層化 –オーディオ趣味とDJ文化を中心に–」。仕事柄こんなことよく考えてます。以前「音楽の本質は音じゃないかもね」と書いたときの気分が戻ってきました。

最近仕事をする上でテーマにしてたのが、「同じ素材を別な日に受け取った場合、自分はまったく同じ設定で録音するか?」
プロならね、そうあるべきだと思ったんですよ。で、スタジオに来るアーティストやエンジニアにそんな話題を振りまくってたんですけど、皆さん概ね「やー方向は似ると思うけど、実際の数値までは再現できないだろうねえ。そのときの気分や体調もあるだろうし」というお答え。エンドユーザーの皆さんはどう考えますか?プロとしてぬるい?それとも一期一会で当然?ご意見大歓迎。この下の comments ってのクリックして書き込んでね。匿名OKです。

僕は前者気味だったんですけど、そんな会話を通して、また、紹介した論文を読んで、その時々に誠実であればいいんじゃないかな、とちょっと癒されてます。プロなので、すべてのリスナーのすべての聴き方の「最大公約数」は常に念頭に置けてますが(すごいでしょ(笑))、その上で第一印象に忠実にやろうと。

まあそんなかんじのカッティングエンジニアがちょっと嫉妬するのが料理人。料理はさ、食べるという行為にさほどばらつきがないわけで、こちらの意図がよりストレートに伝わると思うんですよ。対して音楽がプレイヤーで再生される状況&リスナーの気分はほんと千差万別ですからね。

えーとね、何が言いたいかというと、セックスが上手い人は音楽やるべき。才能あります。


Posted by 酒井和郎 at 2004年03月11日 17:23 | TrackBack


最新記事はsaqai.comでご覧いただけます。
▲ メインページに戻る
← 一つ前の記事: 革製ターンテーブルスリップマット
→ 一つ後の記事: 米軍がイラクに投入する新たな非殺傷兵器は「音」

Comments

オチそこかい!と思いつつも同意。確かに。
さて、こういうお話の時にいつもヴァルター・ベンヤミンの名著「複製技術の時代における芸術作品」を思い出します。家に文庫があるハズなんで読み直してみよう...
以上、卒論を「暴力批判論」で書いた (でっちあげた?) HALO99でした。

Posted by: HALO99 at 2004年03月11日 17:38

同じく料理人には嫉妬してましたよ
友人のソムリエに一回愚痴りたおしたことがありました
で、自分も前者です
曲を書くときは、極端かもしれませんが、少しだけやり直しのきくライブだと思ってやってます

Posted by: 幾多郎 at 2004年03月11日 19:40

「この世に二つと同じ音はない」と仕込まれたクチなのでベストな設定は踏襲しつつケースバイケースで変化させることはあります。オールデジタルでも厳密に言えば同一にはならないと思うし。音を作ると言うところでは昔から「イージーにリスニングされない」ものをと心がけてたりします。たまにそれがあだとなる時もありますが(^^ゞ ちなみにセックス下手です。向いてないのかなぁ?

Posted by: Macoteau at 2004年03月11日 21:56

皆様コメントありがとうございます。

セックス云々はまぁ照れ隠し半分なんですが、補足しますと、
・時間軸がとても重要という点で、セックスと音楽は似ている。セックスが上手=時間軸の表現が上手い人の音楽に身を委ねてみたい。
というのがまず一点。
対して、本文では書き漏らしましたが、
・耳は受身の器官=貝=女性器の象徴。音に対して自我を失うほど受身になりたい。
ということも思うわけです。
で、僕もセックスに自信なし。受身のセックスも好きだし。そういう自分はミュージシャンよりエンジニアに向いてるのかなーと思ってます・・・あれ?この2点って対比を成してませんね。僕は「女性には敵わない」と常々思ってまして、それが露骨に出ちゃった感。あはははは。

参考文献:J.E.ベーレント「ナーダ・ブラフマー/世界は音」

>HALO99
ヴァルター・ベンヤミンの名著とやらが気になって、http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4794912668/ref=sr_aps_b_/249-7877148-2149903
買ってみました。これであってる?

>幾太郎さん
「料理人への嫉妬」共有できて嬉しい!@音楽で前者を選択出来る貴方を尊敬します。つーか抱かれたい(笑)。

>macoteauさん
積み重ねてこられた時間&経験の重みをひしひしと感じる先輩のお言葉、ありがとうございます。照れないでセックス云々は書かないほうが良かったかなあとちょっと反省。

お気軽な一言も重いフィロソフィーも引き続き大歓迎です。音楽以外で表現されてる皆様の意見も聞きたいなあ。

Posted by: 酒井和郎 at 2004年03月12日 00:04

はい、合ってます。その本です。ちなみに岩波文庫 赤463-2「ボードレール 他五篇 ―ベンヤミンの仕事2―」にも収録されてます。
http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/32/2/3246320.html
「複製技術の時代における芸術作品」の中で述べられてるのはトーキー (映画) の話だったと記憶してます...曖昧ですが。
論点としてはアウラ (時間と空間とが独特に縺れ合ってひとつになったもの/どんなに近くにあってもはるかな一回限りの現象) が中心となったもので、酒井さんの話でいくと後者になりますか。

> 「女性には敵わない」と常々
同感!体内に“海”を抱えてる生き物と勝負したって勝てっこないですからね (笑)

Posted by: HALO99 at 2004年03月12日 12:48

>その時々に誠実であればいいんじゃないかな
そうでないと音楽って面白くないんではないかと思います。偶然の産物、または錯覚の最たるもの。

>セックスが上手い人は音楽やるべき
以前DJ EMMAが同じこと=逆のことを言ってたのを思い出しました。
曰く、DJがウマい人はセックスがウマいハズ、と。

Posted by: komori at 2004年03月13日 00:40

はじめまして。よーよーと申します。
>プロならね、そうあるべきだと思ったんですよ。
なぜそのようにお考えになるのでしょうか。理解できません。

Posted by: yoyo at 2004年03月13日 05:48

>よーよーさん
いつもピタリと最高に決められたらかっこいいじゃないか!と思ってました。

>komoriさん
EMMAさん上手く言えてます。僕もこれがいいたかったんです。すっきり。

Posted by: 酒井和郎 at 2004年03月13日 10:04

実は私、レコード屋の前は料理人だったりします。(笑)

料理の場合、いちおうは最初に決めたレシピ通りに作る事
が前提ですが、まったく同じレシピ、同じ条件で作っても
まったく同じ味に仕上がるとは限りません。
やはり、その日の体調等により左右される部分があります。
で、プロ料理人としては極力体調をイコールコンディション
にもっていけるように努力すべき、とされています。
シェフ一人で、予約時に予算だけ伝えてすべておまかせで
やるスタイルのお店なんかだと、基本的に決まったレシピは
無いので「今日は料理の神様が降りてきた」みたいな
冴えてる日は抜群の料理ができる事もあるから「ノリ一発」
みたいな部分もあった方が面白いですけど。

エンジニアとして常に同じクオリティを求められる仕事なら
そうしなければいけないし、依頼するクライアントがいて
成立する職種の場合はそのあたり微妙な気も。

Posted by: shige3 at 2004年03月14日 20:54

ああ、あと料理の場合は基本的に『消えモノ』ですから。
ライブと同じで『一期一会』ですからね。

録音物の場合は残りますしね。

Posted by: shige3 at 2004年03月14日 20:57

酒井さん
>いつもピタリと最高に決められたらかっこいいじゃないか!と思ってました。
いえ、同じ設定にこだわる理由がまるで判らないんです。機材が同一なら設定は限定されるということなのでしょうか?それなら理解できます。

Posted by: yoyo at 2004年03月16日 14:55

おお、料理人サイドからのご意見thxです。
>shige3(http://www.deesstore.com/)
今度ご馳走してください(笑)。
その瞬間をばっちり捉えるには、自分のコンディション&モチベーションを高いところでキープorコントロールできないと、ってことですね。共通するなあ。

この記事を読んだユニバーサルP村さんから、「今頃そんなこと言ってんの?後者だよ後者。リマスタリングって何よ?」と突っ込まれましたとさ。

Posted by: 酒井和郎 at 2004年03月16日 15:14

>yoyoさん
「同じ設定」にこだわってますか?僕。それは多分、再現性を意識しているのが一点、もうひとつはレコードを扱っているからだと思います。
カッティング(レコードに溝を掘る)作業、時間の大半は本番に至るまでの音決めに費やされるのですが、作業後に記録として残るのは、機材の設定値なわけです。実際には機材の劣化や電源環境など、厳密な再現性はないのですが、どこかに指標を立てておかないと仕事として成立しないんです。
デジタルならば、作業過程も含めて保存できたりしますが、レコードの場合、マスターディスクの保存が利かないので、この機材設定の数値が、仕事の結果なんです。

お答えになっていなければ、お気軽にレスしてくださいね。

Posted by: 酒井和郎 at 2004年03月16日 19:39

酒井さん

依頼者が自分の曲に忠実にという意向があるならば再現性を意識するのは当然だと思いますが俺は様々な設定があるべきだと思ったのでなんで>その時々に誠実であればいいんじゃないかな<というこを初めにおっしゃらないのかなと思ったんです。余談ですが俺がカッティングエンジニアに依頼するならばあなたの解釈を信頼していると言いますよ。

Posted by: yoyo at 2004年03月17日 04:12
Post a comment









Remember personal info?







酒井和郎が録音したレコード 酒井和郎

パンダニュースと旅行記 PandaLove.net

saqaicon.gifsaqai.com

Webmaster reco@reco-play.com


Syndicate this site (XML)


アナログレコードとDJと音楽配信ブログ Deep Link Permitted.
All rights reserved.